起きていた問題
当該会社は、大型マシニングセンタ、大型旋盤などを持つ多品種少量生産の機械加工メーカーであり、ISO9000の認証も取得し、それに基づいた品質管理を実施していました。 しかしながら、長年に渡り加工不具合が多発し、代品の製作や手直しによる納期遅延など工程の混乱が生じていました。 また、ロスコストの増大に加え、お客様からの信頼も失いつつあり、経営的にも厳しくなっている状況でした。
コンサルタントの関わり方
不具合の原因・対策実施による品質改善の支援
1.品質管理体制の調査
2.改善活動の実施案の提示
3.改善活動の実施
2.改善活動の実施案の提示
3.改善活動の実施
解決方法
品質不具合の本質的な原因の究明、対策実行
加工不具合が多発する当該会社では、ISO9000認証も取得し、品質不具合に対しても原因対策会議を実施し、改善を図る取組みを実施していましたが、その原因究明が不充分であったため、本質的な対策を実施するところまで至っていませんでした。 また、現場第一線を含めた組織全体で解決しようという意識は希薄で、一部の関係者で改善活動を実施しているように思えました。 そこで、過去半年間に当該会社で実施した品質不具合の原因対策表を一覧表化し、1件ごとに原因究明の再レビューを実施し、本質的な原因究明に取り組みました。 併せて、社長をはじめ管理監督者から現場第一線の作業者まで、品質意識の向上に努めました。 この活動により、4ヵ月目には不具合件数75%削減を達成し、工程の乱れの解消及びお客様の信頼回復につなげました。
解決 POINT 1
本質的な原因究明の実施及び品質意識向上施策の提案
大型製品の機械加工を主体とする当該会社では、長年に渡り品質不具合(加工不具合)が3件/月程度の頻度で継続的に発生していました。 この対応として、ISO9000に基づく品質管理体制を整え、毎月1回の品質会議を実施し、品質不具合が生じれば、原因究明・対策実施を行い、その削減に努めていましたが、減少する様子は見られない状況でした。 そこで、これらの内容をヒヤリングするとともに、実際に実施されている品質不具合の原因対策書を確認したところ、「原因究明が不充分である」ことと「現場第一線の作業者を含めた組織全体で解決しようとする意識が低い」ことが原因であることが解りました。
このことを先方に伝え、本質的な原因究明をする活動の実施とその活動に現場第一線の作業者を巻き込み、組織全体の活動とすることを提案し、実施することと致しました。
このことを先方に伝え、本質的な原因究明をする活動の実施とその活動に現場第一線の作業者を巻き込み、組織全体の活動とすることを提案し、実施することと致しました。
解決 POINT 2
上記施策の実施
過去半年分の当該会社で実施した品質不具合の原因対策書全件を一覧表にまとめて頂きました。 その上で毎月1回の頻度で、品質会議とは別にこの書類を基に原因究明の再レビューを実施しました。 この再レビューにより、多くの新たな本質的な原因が浮かび上がり、今までの原因究明では不充分であったことが明らかになりました。 また、実際の対策実施については、現場での対策実施状況を確認するとともに、現場作業員から実行の難しいところなどをヒヤリングし、現場で実行できる対策案とするように心がけました。 一方、社長にも積極的に現場での改善実施状況の確認をお願いし、社長が大きな関心を持っていることを現場第一線の作業者に理解して頂き、品質意識の向上を図りました。 この結果、対策実施後4ヵ月目には、従来の不具合件数に対して75%の削減が実現できました。 但し、この削減は品質意識向上により、より丁寧に注意深く作業を実施して頂いた結果であり、リバウンドしないように本質的な原因に対する対策を並行して実施し続けました。 この継続により、リバウンドすることなく75%削減を継続することができました。
解決 POINT 3
改善の継続実施体制の構築
上記のように、品質不具合の原因対策の深堀りが、品質不具合の削減に大きな効果があること理解して頂きましたので、今回の活動を継続する体制を整えて頂くとともに、「QC7つ道具」や「なぜなぜ分析」についても理解を深めて頂き、レベルアップを図って頂きました。 このように当該会社においては、効果的な原因対策会議やQC手法の理解により実行面での強化を図って頂き、品質管理体制の強化に努めて頂きました。
効果・成果
長年に渡り、品質不具合が多発していましたが、今回の施策により、大幅な品質不具合の削減が実現でき、当該会社としては、
①不良・手直しなどのロスコストの削減
②生産工程の混乱の解消
③後ろ向きの業務から前向きの業務へのシフト
お客様としては、
①納期遅れの解消
②代品製作の削減
が図られ大変喜ばれました。
①不良・手直しなどのロスコストの削減
②生産工程の混乱の解消
③後ろ向きの業務から前向きの業務へのシフト
お客様としては、
①納期遅れの解消
②代品製作の削減
が図られ大変喜ばれました。
品質不具合の多発は品質意識向上と本質的な原因の追究で解決します。
本案件は、対策開始後4ヵ月で、加工不具合75%削減と大きな成果を上げることができました。 この成果は、本質的な原因を究明し、その対策を実施した効果によるものというより、このような活動を通じて、関係者の品質意識が向上し、「絶対に不具合を無くそう」と真剣に取り組み、丁寧に注意深く作業を実施したことが大きな成果に繋がったものと考えています。 但し、このような品質意識は、長期間続けることは難しく、品質意識が高まっている間に、本質的な原因に起因する抜本的な対策を実施し、全般的な品質レベルを向上させたことにより、不具合減少の効果を継続できたものと考えています。