実績

ソフトウェア開発会社の経営支援(情報通信業)

創業から約20年、個人経営から脱却し、経営基盤の確立とマーケティング営業を実践する

専門業種
テーマ
事業規模
  • 従業員:70名  年商:4億5千万円

起きていた問題

当社は創業20年のIT企業です。
事業は2本柱で、創業当初からの事業である「業種特化型パッケージソフト販売」と後に拡大した「IT技術者派遣」があります。
パッケージソフトはOSのバージョンアップ対応や法的制度の変更によりメンテナンスが必須のため固定費がかかります。一方でこれまで属人的な販売方法だったため、どのように販売促進していいのかが分かりません。近年では競合がシェアを伸ばし事業は赤字に陥っています。
技術者派遣は次第に拡大してきましたが、単価が上がらず稼働率のわずかな低下により営業利益の確保が困難になることもあります。人員が増えても体制が整わず、管理体制が不十分であることが原因と考えています。

コンサルタントの関わり方

人の可能性を信じ、確かな戦略により勝つ組織を造る

①リーダーを選抜して管理職を育成する。
②会議体を整備して、PDCAサイクルを回す。

解決方法

人材を生かした経営基盤を構築する

組織体としては経営層の直下に派遣部門とパッケージ開発部門があります。経営陣はもともと技術者であり、組織運営やマーケティングのノウハウはありません。一方で自社の社員には優秀な技術者やリーダーシップがある管理職候補も複数名いました。
そこで、これからの経営を担う中間管理職として一般社員の中からリーダーを選抜し、管理職グループを創設しました。中小企業診断士はリーダーの選抜及び経営会議のファシリテーションを行いました。会議では現状の問題・課題の抽出と改善案の検討をすすめました。これにより企業としてあるべきPDCAサイクルを実践し、経営基盤の改革に取り組みました。

解決 POINT 1

リーダーを変革の原動力にする

当社の技術者は転職者も多く、異業種の経験を積んでいる者が複数名います。コミュニケーション能力や行動特性(コンピテンシー)が高く、リーダーシップを発揮する者もいます。そのような人材は会社としても認識していましたが、組織として活動できていなかったため、彼らの活躍は派遣先の現場への貢献に限られていました。
始めに経営陣と従業員へのヒアリングを通して候補者をリスト化しました。次に候補者を集めて説明会を開き、会社として今後の方向性を示すとともにリーダーの役割と重要性を伝えました。その後、候補者との面談や雑談の場を設けて選抜を進めました。人事アセスメントの技術により候補者の能力を明らかにし、リーダーとしての適性を明確にしました。なお、候補者の情報として保有資格やキャリア情報はありましたが、これらは参考としたのみでした。
リーダー候補者の中から10名を選抜し、彼らの特性により管理グループと技術グループに分けることにしました。管理グループは派遣先の勤怠管理や組織体制の整備を中心に検討し、技術グループは技術者の能力開発や評価制度改正を中心に検討しました。
毎月1回は各グループで会議を開き、3ヶ月に1回は経営陣も入れた全体会議を実施しました。横の連携とPDCAサイクルにより、問題・課題の明確化と改善が進みました。

解決 POINT 2

「勘の営業」から「マーケティング営業」への転換

派遣部門については管理グループによる組織管理に移行し、勤務状況が見える化され改善が進みました。技術グループも社員が現場で抱えている悩み事を抽出することに貢献し、問題が大きくなる前に対策が打てるようになりました。
一方でパッケージ開発部門は別のアプローチが必要でした。もともと属人的な営業手法であり、専門誌に広告を載せる以外は待ちの営業スタイルでした。近年は同業他社の統廃合により二極化が進み、当社は負け組に分類される状況でした。しかし商品自体の満足度は高く、継続して使用する顧客も多いです。当社の強みは製品の使いやすさと顧客対応(問い合わせ対応)のきめ細かさです。強みが明確であること、そしてこれまで計画的な営業でなかった分、伸びしろもあると判断し販売促進の改革を進めることにしました。
まずはSWOT分析をして、競合他社と比較した当社の製品のポジションを定め、ターゲットを定めました。次に顧客数のデータを取得して市場の大きさを地域ごとに分析しました。全国を相手にしたいと考えましたが、営業にかける時間と交通費からターゲット地域を絞って営業を仕掛けました。アプローチ方法は自社の強みが生かせるよう、DMと電話営業を主としました。顧客のリストを作成したことで、販促スケジュール計画もできました。新規顧客開拓と休眠顧客開拓、さらに既存顧客への追加開発提案を順次進め、次第に成果を積み上げることができました。

解決 POINT 3

事業計画書の作成と実践

会議体の刷新により社長の想いや従業員の想いを共有する場がつくられ、情報の共有も進み、現状認識のずれも次第になくなりました。人材育成の面でも、リーダーは管理職として自覚が高まり、組織全体を見る目が養われました。
組織としての体制が確立しつつあり、収益力も回復に向かい始めました。一定の改善が進んだことを確認し、今後の会社の軸となる事業計画作成に取りかかることとしました。
事業計画は会社として向かう方向性を示し、中長期の目標となり、従業員の一体化の軸となるものです。特にIT企業は人が財産であり、転職も比較的容易であることから、心が一つになる軸の存在はより重要だといえます。
具体的には会議の場を通じて作成することにしました。まずフォーマットの見本を提示して構築順を説明しました。毎回の会議では順に検討することで次第に作り上げていきました。途中で管理会計やマーケティングの講座、競合分析の手法を伝えることもあり、研修の場にもなっていました。
競合や現場の状況はプレイヤーも兼ねているリーダー自身がよく把握をしています。普段は技術者としての開発業務に従事していますが、新たな役割を持つことで各自が会社の将来ビジョンを意識するようになっていきました。
完成した事業計画は年に一度の全社会議の場で社長から発表がなされました。すでにリーダークラスにはその想いと内容が浸透しています。全社員に発表することでこれが会社の軸となっていきました。

効果・成果

組織体に中間管理職を設けることで、指導・育成がやりやすくなり、勤怠管理のレベルが飛躍的に改善しました。これは同時に売上・利益の向上にも結びつきました。また、パッケージ開発部門においては、ムダを省いて効率的且つ主体的な営業スタイルが確立され、業績は回復傾向にあります。
事業計画を作成して社員で共有したことによって帰属意識も高まりました。共通の目標ができ、相互のコミュニケーションが増え、お互いの関係性も以前より高まっていることが認識できました。
以前は属人的な企業運営で経営組織としての体はありませんでしたが、本当の経営組織としてスタートラインに立つことができました。今後は事業計画を目標にして、業績拡大を目指すところです。

技術力が主体の業界であっても、経営を成功させるのは技術力ではありません。経営には原理原則があり、一定の規模になれば組織としてのあるべき形も必要です。そのため、専門業界ではありますがやはり経営基盤の構築が必要になります。
技術集団に対して全従業員の視点を同時に上げることは難しいですが、リーダーが視点を上げることで下に浸透させることはできます。そのためにもビジネスセンスを持つ優秀な人材の確保と教育が重要になります。
<当支援で使用した知識・技術>
 ・人材アセスメント(コンピテンシー評価)
 ・ファシリテーション(会議進行)
 ・コーチング(自発的な行動の支援)
 ・管理会計(収益構造の把握、未来会計)
 ・マーケティング
 ・ブランディング
 ・PDCAサイクル
 ・SWOT分析
 ・5S(ムダの削減)

中小企業診断士
ソフトウェア開発技術者

吉田喜彦
Yoshihiko Yoshida
登録番号:403438

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