実績

小売業における店舗運営の改善事例

複数店経営における相乗効果を発揮するために、各店舗の課題を共有して全社的に改善活動を行う

専門業種
テーマ
事業規模
  • 従業員:50名 / 年商:7.2億円

起きていた問題

対象企業は、繁華街で3店舗のコンビニを運営する小売業です。店舗責任者(店長、副店長)は、慢性的な人材不足の影響から接客や納品の片付けに追われ、本来担うべき責任者としての業務に集中できない状況が続きました。その結果、お店のファンを増やすための売り場づくりが後手に回り、多くの機会ロスが発生しました。さらに、3店舗の合同会議は、店舗責任者への業務負担増による出席率の低下から不定期開催となり、社長自らが各店舗を巡回して連絡を行うだけの打ち合わせが多くなりました。そのため、数値管理や店舗ごとの取り組み事例の共有が困難となり、複数店経営の相乗効果が発揮できないまま各店舗が孤立した状態となりました。

コンサルタントの関わり方

複数店を横断的に管理するための定期的な合同会議の実施支援

社長から孤立した店舗を救済して再び合同会議を定期的に開催し、社員が一丸となった業務改善を実施したいという要望がありました。また、会議の参加者は、店長のみならず店長候補者の参加も促し、店舗スタッフを含めた一体感のある組織づくりを目標とされていました。まずは、中小企業診断士が店舗責任者へ現状の課題や問題点のヒアリングを行いました。その後、社長と共に課題解決のための改善計画を立て、しっかりと情報共有ができる合同会議の定期開催を目指しました。

解決方法

各店舗の課題を共有してメリハリのある改善活動を行う

人材不足の影響により店舗責任者が接客や納品の片づけに追われ、季節感の演出など時間をかけた販促活動まで手が回らないケースが見られました。そこで、店舗ごとの勤務シフト表を廃止し、全店舗共通の勤務シフト表の作成により人材不足の影響を軽減しました。そして、店舗責任者に少しづつ時間の余裕が生まれた段階で合同会議の定期開催を実施しました。会議実施後は、店舗責任者が各店舗の権限を残しつつ、課題の多い店舗へ複数の店舗責任者が集中して協力できる体制を作りました。

解決 POINT 1

人材不足の影響を軽減する

対象企業は3店舗全てが徒歩10分圏内に立地しており、勤務シフト表に穴が空いた時は他店舗へ協力を仰ぎ、場当たり的にシフトの穴埋めを行ってきました。しかし、この対処方法では慢性的な人材不足を解消するためには限界があるため、単店での勤務シフト表を廃止して全店共通の勤務シフト表を作成することにしました。まず、既存スタッフに対して勤務先が単店から複数店に変動することで各々の希望が通りやすくなることを説明しました。そして、店舗責任者は持ち回りでスタッフの勤務希望日を集約して全店舗共通の勤務シフト表を作成しました。この取り組みにより単店では対処できなかった課題を複数店で解決する成功事例が生まれたため、店舗の課題や悩みは複数店で解決していこうという意識づけができました。
さらに、店舗責任者の担当範囲は、各店舗の権限を残しつつ3店舗を横断的に協力して管理することにより、店舗責任者自身の安定した休日を確保できるなど副次的な効果も見られました。

解決 POINT 2

合同会議を定期的に開催する 

人材不足の影響を低減し店舗責任者に時間の余裕が生まれてきたタイミングで、定期的に合同会議を開催する準備を進めました。
単店では月次の経営成績は把握できるものの、3店舗の経営成績や売上構成比などを横断的に比較できる資料はありませんでした。そこで中小企業診断士が単店の経営データを集め、3店舗の月次損益比較や商品分類ごとの売上構成比比較など合同会議用の分析資料を作成しました。
実際に合同会議の定期開催が実現できた頃には、店舗責任者が同じ繁華街立地でありながら営業利益率に大きな差が出ていたり、売上構成比に大きなバラつきがあることに気づくことができました。すでに店舗責任者が各店舗を巡回して管理する仕組みができていたため、数値面の課題について店舗でどのような改善活動を行えば良いかスムーズな話し合いができました。

解決 POINT 3

横断的にメリハリのある業務改善を行う

合同会議で3店舗を横断的に分析・比較することで、店舗ごとの改善目標を明確にした上で店舗責任者間で情報を共有することができました。営業利益率を改善目標とした店舗は、オペレーションの見直しを行うためにワークスケジュールを作成して費用削減の実施、値入率を改善目標とした店舗は、立地特性と合う新商品の選定と販売目標を達成するための売り場づくりの実施を行いました。改善ポイントが多岐にわたる店舗には複数の店舗責任者を重点的に配置するなどメリハリのある業務改善を行いました。
また、新人スタッフの早期戦力化を目的として、事務所に会議スペースを確保できる店舗に人材育成業務を集約できる研修室を設置しました。研修室ではスタッフの面接から研修まで一通り実施することで新人教育の標準化を図ることができました。人材不足の中、日常業務の合間で新人教育を実施していた頃と比べると、お店や個人の目標を共有し達成のために業務を通じて何をすべきかを明確にできるため、採用当初から責任感のある仕事が任せられるようになりました。

効果・成果

人材不足の影響を最小限に抑え定期的な合同会議の開催により、計画の予実管理を全社的に行うことが可能となり複数店経営の相乗効果が発揮できる組織へと成長しました。
これらの取り組みにより、機会ロスを減らして売上を伸ばした店舗や値入率を少しづつ改善した店舗、オペレーションの効率化により費用を削減して営業利益率を改善した店舗など数値面で良い結果が見られようになりました。

社内の情報連携がうまくいかず、売上を取りこぼしていませんか?

売上や利益を増やすための方策は新規顧客の開拓だけではありません。むしろ社内の情報連携がうまくいかず既存顧客に対して取りこぼしている売上に気づき、改善計画を立てて行動を起こす方が早期に売上や利益の改善に結びつく可能性が高いです。
近年、小売業界では人材不足の解消に向けたさまざまな取り組みが行われています。今後、機械化やセルフ化だけに頼っていると店舗責任者やスタッフの人的資源で差別化することができず、経営が行き詰まることも想定されます。
本事例の対象企業のように複数店を経営されている、あるいは近い将来、複数店経営を目標とし今から人的資源をうまく活用していきたいとお考えの方、ぜひ中小企業診断士とともに「課題に気づき、考えて行動できる組織」を作っていきましょう。

中小企業診断士

尾﨑 敏明
Toshiaki Ozaki
登録番号:414966

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