経営コラム

経営層・営業メンバーが一体となって営業戦略・営業戦術を策定・運営するために ~経営層と営業メンバー間の認識の共有化・相互理解を図る~

<はじめに>
経営層(経営者さまや経営幹部。以下同じ)が考えておられることについてトップダウンだけでは、営業メンバーがその背景や必要性を十分に理解できていないことがあり、計画はあるけれどもその計画に沿った営業活動が出来ていないことはないでしょうか。
今回は、そういったことを解決するための一例を紹介させていただきます。経営層にも色々な手法をお考えだと思いますが、営業組織運営の参考にしていただければ幸いです。

こんな経験はありませんか?

経営層で、以下のような経験はありませんか?
・指示したように部下は計画を作るけれども、絵に描いた餅で終わっている
・現場では、営業面で指示していたことが出来ておらず、日々の仕事をさばくだけに終わっている
等です。
営業方針や営業戦略(注1)はあるのですが、営業組織がうまく連動していないような経験です。

考えられる原因

前記1.の原因として、経営層と営業メンバーで営業の方向性について相互に認識が共有化出来ていないこと等が考えられます
具体的には、下記のようなことが考えられます。
①営業メンバーが営業方針や営業戦略の内容を理解出来ていない(認識の共有化不足)
②営業メンバーは営業方針や営業戦略の内容を理解しているが、その背景や必要性を理解出来ていない、現場の声(課題)が反映されていない(他人事)
③前記①、②をどのように解決したらよいかを管理監督者がわからない(スキル不足・経験不足)

どのように営業戦略を策定するか

前記2.の問題を解決するためのポイントは、経営層と営業メンバーで営業戦略の認識の共有化・相互理解を図るプロセスを踏んでいくこと、です。具体的には、経営層は方針を提示しながらも、営業メンバーにも戦略・戦術策定に参加していただくことです。組織の一体感を高めていくことにも効果的です。
そのプロセスのポイントを紹介させていただきます。

<プロセスに入る前に>
社内で思考プロセス等を共有化するため、経営層が、社内メンバーのレベルに応じた戦略策定に関する書籍を関係者に配布して、各自学習していただくことをお薦めします。今後の話し合いでは、常にその書籍を関係者が手元に置いて、必要に応じてその書籍の内容を皆で確認していくと話し合いの拡散防止に繋がりますし、皆の思考プロセスの共有化レベルが向上します。

<ステップ1>
経営層は、営業組織の管理監督者(例えば、営業部長)と話し合い、相互理解(*1)した上で戦略の方向性を決めて、その管理監督者に戦略等をまとめるよう指示(*2)します。
(*1)管理監督者は「自分事」と捉えて理解しているか、が重要です。
(*2)経営層と管理監督者で、戦略等を整理すべき項目・内容を決めて、書面化します(以下、戦略フォーマット)。今後、メンバー主体で策定していく戦略等の項目・内容で、経営層としてまとめて欲しいポイントを明確にするためです。

<ステップ2>
管理監督者は、中間管理職、組織規模に応じて営業メンバーを集め、方向性を説明し(*1)、メンバー参加型のSWOT分析(*2)を実施します(*3)。経営層も「聴く立場で」参加いただくと、営業メンバーとの営業戦略の認識の共有化・相互理解がさらに向上します。*4)。

(*1)「なぜ、それをしないといけないのか?」、「それをしなければどうなるか?」等を説明し、相互理解を深めます。
(*2)自社の強み、弱み、事業の機会、脅威を整理・分析します。
(*3)フリーディスカッション形式で実施すると効果的です。
(*4)その場での指示命令は厳禁です。営業メンバーの声を聴くことで経営層にとって新しい発見が出来る可能性があります。例えば、新たな「ビジネス情報」・「課題」・「コストダウン策」等です。

<ステップ3>
SWOT分析を実施した後、経営層から提示された戦略の方向性と合う内容、追加すべき内容等を整理して、事前に準備した戦略フォーマットにまとめます。当初、経営層が考えておられたことと多少変わることがあるかも知れませんが、会社としての戦略の方向性と概ね合うのであれば、現場視点での発想でさらに良いものにした、ということで良いと考えます。

営業戦術の具体化

営業戦略が出来れば、営業組織内で、次に具体的にどのようにその戦略を進めていくか、できるだけ具体化・定量化していきます。「いつまでに」、「誰が」、「どのように」、「いくら予算を使って」、「どの程度進めていくか」を書面化します(以下、戦術フォーマット)。書面化する項目・内容も事前に経営層と合意しておくことをお薦めします。今後のPDCAに活用するためです。

経営層が営業戦略を達成するために実施すべきこと

営業戦略・営業戦術を策定したのに、定例の会議では、日々の活動・目標達成率の管理に終始し、策定した営業戦略・営業戦術の進捗管理が出来ていないことがあります。これを防止するためにも策定した戦略・戦術フォーマットを活用していくことがポイントです。

(1)経営層が実施すべきこと
①皆で策定した営業戦略の背景、必要性を常に色々な場で言い続けていただくことをお薦めします。組織として徹底していくことが重要です。特に、中途採用社員が多い場合は、尚更言い続けることが重要となります。
②四半期毎に営業戦略の達成度について確認するため、管理監督者・営業メンバー等とのレビューの場を設けることをお薦めします。レビュー時は、策定した戦略・戦術フォーマットを使用されると効果的・効率的です。

(2)管理監督者・中間管理職にさせていただきたいこと
①「営業戦略達成のための営業戦術」をPDCAする、という視点で、営業メンバーの行動管理、実績管理を徹底させてください。日々の売上管理のみに終始させてしまうこと、は避けましょう。営業会議は、策定した戦略・戦術フォーマットを使用させると効果的・効率的です。毎月の会議で使用させれば、前記(1)のレビュー時にも活用できます。
②皆で策定した営業戦略・営業戦術の背景、必要性を営業メンバーが理解して行動できているか、日々のコミュニケーションで営業メンバーに確認させて下さい。

<最後に>
上記プロセスにより
・管理監督者等の人材育成、今後管理監督者にしたい人材の見極め
・経営層・管理監督者・営業メンバー間で戦略・戦術フォーマットの内容の共有化を図ることにより不要な資料作成・検討作業(悩む時間)や議論の時間の削減等
に効果的です。
・翌年度の計画は、策定した戦略・戦術フォーマットの内容をPDCAすることにより効果的・効率的に策定できるようになります。

以上、簡単ですが、営業戦略・営業戦術策定のための組織運営の参考にしていただければ幸いです。
今後も、自社の強みをビジネスチャンスに最大限活かして成長することを目指される中小企業の支援に努めてまいります。ぜひ、お気軽にお声掛け下さい。

(本コラムのイラストは、「かわいいフリー素材集 いらすとや」から引用しました。)
(注1)本来、営業戦略は、経営戦略の下位にあります。本内容は営業組織に関する内容ですので、営業戦略を上位戦略として記載しています。

<営業ベースでの概念図>

担当メンバー名:増田 誠 (中小企業診断士)

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