経営コラム

ネット販売-売上をあげるために取り組むべき、はじめの一歩とは

はじめに

コロナ禍で巣ごもり需要が注目を浴びるなか、EC販売市場が拡大を続けています。
これを機にEC販売を始めたい、もしくはもう始めたという経営者の方もおられるのではないでしょうか。
今回はEC販売を始めるときに、初めにおさえておきたいポイントについてお伝えします。

拡大を続けるEC市場


資料: 経済産業省 令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書より

上グラフのように、コロナ禍でも、いやむしろコロナ禍においてより一層、インターネットでの販売が好調です。
そんな中「うちもEC販売を始めたい」と考えられている方も多いのではないでしょうか。そして、経営者として気になるのはやっぱり「どれくらい売れるの?」ですよね。

EC販売での売上を試算するとき、よく使われるのが下の公式です。

これは「何人がサイトに来て(アクセス数)」「何人が購入して(転換率)」「いくら買ってくれたか(平均客単価)」を表していて、掛け合わせることで売上が計算できます。

例えば100人がサイトに来て(アクセス数100人)、そのうち10人が購入して(転換率10%)、平均1,000円買い物をした(平均客単価1,000円)場合、100人 × 10% × 1,000円で売上は 10,000円です。

まず取り組むべきは…

この公式の中で初めに取り組むべき項目は、「アクセス数」の増加です。サイトを訪れる人がいなかったら、転換率も客単価もありませんからね。

そしてアクセス数を増やすために「SEO対策」が大事だとよくいわれます。
SEO対策とは、例えばグーグルなどで「ボールペン」と検索したときに、自社サイトが検索ページのなるべく上部に表示されるようにホームページを作ることです。

実際、自社ECサイトを開設したら「SEO対策しませんか」とか「検索ページで上位表示させます」といった営業メールが山ほどきた、という経験をされた方もおられるのではないでしょうか。

しかし実はSEO対策の前に、いやもっといえばECサイトを立ち上げる前に考えておかなければいけない大切なポイントがあります。
これを押さえていなければ、どれだけSEO対策をしてもアクセス数は思ったようにあがりません。

SEO対策の前に考えるべきポイントとは

そのポイントとは「検索ボリューム」です。あなたの商材がどれだけの人に検索されているか、といった値ですね。

検索ボリュームを調べられるサイトは、有料サイト・無料サイトともに数多くあります。
試しに無料サイト「aramakijake.jp」で、「ボールペン」の検索ボリュームを調べてみましょう。

ヤフーとグーグルを合わせて月間90,500件の検索があり、検索ページ最上位に表示されると38,000件ほどのアクセスがあるようです。この数字が、「ボールペン」から流入する月間訪問者数の上限になります。

「じゃあボールペンを売ると自社サイトに3万8千人が来て…」と思われるかもしれませんが、残念ながらそう簡単にはいきません。

検索ボリューム1万件以上のキーワードを俗に「ビッグワード」と呼びますが、ビッグワードはそれを狙うライバル企業も多く、そして強くなります。

大手が躍起になって、SEO対策や広告に資金を投入するなか、中小規模の企業が真っ向から勝負することは難しいのが現実です。
それではビッグワードの商品はあきらめないといけないのでしょうか?

アクセス数を上げるためのニッチ戦略とは

もちろんそんなことはありません。ビッグワードの商品は、「キーワードのニッチ化」をしましょう。「ボールペン」では検索ボリュームが大きすぎて上位表示できなくても「ボールペン 名入れ」ならどうでしょうか?

「ボールペン 名入れ」だと検索ボリュームは4,400件になりました。
ずいぶん少なくなりましたね。そのぶんライバルも減り、検索結果ページの上部に表示させやすくなります。

もちろん、一つの検索ワードから訪問してくる人数は少なくなます。そこで、複数のニッチワードを狙って訪問者数を増やします。例えば先ほどの「ボールペン」での検索結果。

「チェック結果」下の部分に関連語が表示されていますね。これは「ボールペン」と一緒に検索されることが多いキーワードの組み合わせです。これらのキーワードを取り入れた販売ページを作れば、検索にヒットさせることができます。

「でも「ボールペン 消す方法」や「ボールペンのインクがでない」なんて販売と関係ないじゃない」と思われるかも知れません。
確かに販売ページに「ボールペンを消す方法は…」なんて書かれていたら、違和感がありますよね。

そんなときは、例えば「文具屋が教える、ボールペンの文字をキレイに消す方法」などといった内容で、ブログ記事としてページを作りましょう。そしてそのページから販売ページへとリンクを貼っておきます。

このように様々なキーワードを自社ページにちりばめることによって、自社サイト全体の検索ボリュームをトータルで増やしていくことが大切になります。


ここまでをまとめると、まずは狙うべきニッチなキーワードを決めて、そのキーワードが自然に含まれるようなページを作る。

そして、それらニッチワードの「検索ボリューム」の合計が、自社サイトの「アクセス数」上限値となります。

あとは、このキーワードに対してSEO対策をすれば、闇雲にビッグワードに対してSEO対策をするよりも効率が良くなります。
また、アクセス数上限値に対して実際のアクセス数をチェックすることで、SEOの効果も検証しやすくなるでしょう。

さいごに

さて、ここまで自社サイトで売上をあげるためにまずは取り組むべきことについてお話ししてきました。

まずは「アクセス数」を確保すること。そのためには検索ボリュームを集めやすいキーワードを決めて、それらを含んだページを作ることの大切さが、おわかりいただけたでしょうか。

そして「アクセス数」が集められたら、なるべく多くの人に買ってもらえるよう「転換率」をあげたり、「平均客単価」が高くなるよう販売方法を工夫したりといった取り組みへと、比重を移していくことになります。

自社サイトを始められた多くの企業さんが、思ったほど簡単に成果はでないと言われます。実際、ある程度の売上を上げるために、何年もの地道な取り組みが必要なことは間違いありません。
しかし、やるべきことをコツコツとやれば、時間と共に成果は必ずついてきます。

移り変わりの激しいネットの世界。打ち手に迷ったら、専門家にアドバイスをもらうことも良いと思います。EC販売に豊富な経験を持つ中小企業診断士への相談も、その一つとしてご検討ください。

今後も成長が続くであろうEC販売で、収益の柱をもう一つ作り上げる。この記事が、そんな気概を持ってチャレンジする皆さまの、はじめの一歩をサポートできれば幸いです。

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