「夢や目標を達成する」ための 〜「経営計画の立て方」と「PDCAの回し方」〜とは
はじめに
誰しも、自分の「夢や目標」を実現したいものです。しかし現実は厳しいもので、高い目標であればあるほど、その実現は困難なものです。それでは無理なのかというと、「自分が立てた目標」ですから、あながち無理だとも言えません。はたして「実現できる、できない」の違いはどこにあるのでしょうか。
私は、人間が本気で「夢や目標」を持ったら、それは「すべてかなう」と考えています。
「夢や目標がかなわない」のは、本気さが不足していたり、単なる「願望」の域を出ていないからだと思います。
昨年2024(令和6)年の全国倒産件数は、11年ぶりに1万件を超えたそうです。主な原因は、円安やエネルギー価格の上昇による物価高や求人難による人手不足だと言われています。2020年に、新型コロナ感染症流行の影響により売り上げが減少した中小企業に対して行われた「ゼロゼロ融資」の元本返済時期が始まっているのも、原因の一つだそうです。
「実質無利子・無担保」とは言っても、元本は返済する必要があるからです。その融資金額は日本全国で40数兆円という規模になっています。実は、日本の強みは「中小企業」によって支えられていると言っても過言ではありません。中小企業基本法上では、総企業数の99.7%を占めているのですから。
(この金額は日本の国家歳出予算が110兆円規模としても、非常に大きな金額です。)
(出典元)東京商工リサーチ
しかし上記のような経営環境の厳しい時代の中で、事業を継続し「夢や目標」を達成し続けていくにはどうすればいいのでしょうか?
私は40数年にわたる企業経営の経験の中で、何人もの親しい経営者の知友を失いました。しかも彼らは自らの命まで絶って・・・。
「リスケ」※など、今では普通の言葉のようになっていますが、私の現役時代には「リスケ」すれば、金融機関も手のひらを返したように冷たくなるのが通常でした。「担保や経営者保証」も確保しながら、今では考えられない日本の厳しい現実がありました。経営者の連帯保証を外すことを後押しする、金融庁の「経営者保証のガイドライン」が発表された昨今とは隔世の感があります。
(※リスケとは「リスケジュール」を略した和製英語で、計画や予定の変更・調整を意味し、金融業界では「借入金の返済計画の変更・調整」を指す。)
経営者は、従業員を含めた関係者全員を幸福に導くために、また企業を倒産から守るためにも、経営計画の100%達成を実現していかなくてはなりません。
今回は「夢と目標を実現」するための「経営計画」の立て方と、そのツールや、
「PDCA」※の具体的な実行手法などの「暗黙知」※に関して、私のやり方を「公開・共有」をしていきたいと思います。
(※PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価・反省)」「Action(改善)」の頭文字をとって名付けられた目標達成に関するフレームワークです。)
(※暗黙知とは、一般的に個人の経験則や勘に基づくノウハウ、仕事の中で身につけたスキルといった言語化されていない知識。昔ながらの職人の技術、仕事のコツなどを含む伝承がし難い知識で、対する「形式知」とは言語化されている、伝承が可能な知識をいう。)
「経営計画」と「PDCA」の回し方
計画のない経営は、「地図とコンパスなしで冬山を登山する」ようなものとして、「自殺行為である」とさえ言われています。
経営の神様として知られるドラッカーは、「計画とは、将来に関する現在の決定である」と言っています。将来の姿を決めることが、企業を上記のような「冬山での遭難」状態から救う唯一の方法です。「経営計画」は、経営の目標実現の「肝」にあたる部分なのです。
しかし中小企業とりわけ小規模事業者では、その半数程度以下しか経営計画を立案していません。また計画があったとしても、金融機関等への外部用資料の域を出ない状態で、組織全体を「あるべき方向」に導く「羅針盤」のような役割は果たせてはいないようです。
中小企業が経営計画を立てていない理由には、次のようなものがあるようです。
- 経営計画を作成するスキルやノウハウがない
- 現状に満足していて、変化の激しい時代に作るメリットがわからない
- 進捗管理の仕組みが分からない・・・など
人類の進歩向上のすべては、先ず人間が「夢や目標」などの「想い」を持つことから始まります。そこから具体的な「計画立案」がなされ、実現に向けて「行動」が取られます。
「経営計画」立案がなされたとしても、その達成には日々の「PDCA」が欠かせません。
「経営計画」の立て方
- 先ずは、組織の「根っ子」部分であたる「存在理由」や「目的・理念」などを明らかにし、明文化します。
- 通常「経営計画」は、中期計画として「3か年計画」を立てます。
そして、その「戦略目標」を4〜5つのジャンルに分けて立案します。
例えば「5W1H」を基準に、
❶誰に(顧客戦略)
❷何を(商品戦略)
❸どのように(営業・マーケティング戦略)
❹どこで(店舗・Web戦略)
❺どのくらい(成果目標・組織戦略)・・などと分類します。
(❶〜❺の各「戦略目標」を基に、重点的な具体的「戦術目標」を案出します。) - 「3か年計画」を「今年度計画」にブレークダウン(落とし込み)します。
- 「今年度計画」を「月次計画」にブレークダウンして「ガントチャート」※の予定表に記載します。
- 「今年度計画」や「月次計画」「ガントチャート」から今週の「週計画」にブレークダウンして、日々の「行動計画」をスケジュール化します。
(3,4は、場合によっては省略しても結構です)
1~5の一番のポイントは「週計画」になります。
(※ガントチャートとは、工程管理やスケジュール管理に用いる、「縦軸に項目」を記載し「横軸に進行日程」を書き込んだ「スケジュール工程表」。一覧表に図示することで「縦軸の計画項目」が「いつからいつまで」に実行すべきかが一覧できる。)
毎週「週計画」を立てるのは、大変なように感じられるかもしれませんが、
ある書籍に、次のように書かれています。
「計画のために一日15分を確保する」
『あなたは最近の一週間の生活の中で、計画のために一日平均何分時間を費やしただろうか。計画のために時間を使うほど、全体にかかる時間はすくなくてすむ。一日わずか10分から15分で十分なのだが、そのメリットは多岐に渡り、限りなく大きい。ゆっくり落ち着いた10〜15分を確保し、自分の価値観やミッション、主要課題、週計画を見ながら、今日行うべき事と優先事項をじっくりと考えるべきだ。』
手帳と「PDCA」
道具(ツール)の大切さ・・・「弘法筆を選ばず」という言葉があります。達筆で数々の書を遺した弘法大師(空海)は遣唐使として大陸に渡った際に、筆を作る工房で優れた筆の作り方を習い、現存する書からも逸品と呼ばれる高級な筆を使っていた、と言われています。
「PDCA」のツールにしても、自分に合った良い「手帳」を選んで活用することが大切だというのが本当の意味なのです。
私は若い頃、毎年年末になると「ハンズ」などの大きな本屋さんの店頭で、新しく出版された手帳のほぼ全てを手に取り研究してきました。そんな中で、色んなタイプの種類が多くあり、決算月によっても「一月始まり」や「四月(年度)始まり」があり、サイズも様々な、私の一番のお勧めは「能率手帳」です。そして、サイズのお薦めは「A5サイズ」。理由は一番多用されている書類が「A4サイズ」で、半分に折るとA5サイズの手帳に挟み込みできるからです。
(上着の内ポケットに入る小型はメモ帳としての用途であり、経営計画やその「PDCA」には不向きです。また色んな書類を一冊で管理する「A5型システム手帳」もお勧めですが、手帳初心者には「A5サイズ単体」をお勧めします。)
「能率手帳」の例(NOLTY No.6313)
「PDCA」のやり方
前述のように、「PDCA」は毎日・毎週が勝負です。毎週末には今週の反省をして、「経営計画」を基にして次週の「週計画」を立てます。「能率手帳」でもメインの見開きのページは「週計画」になっています。
「週計画」を実践することで、「経営計画」は1年間で52回見ることになります。計画が「絵に描いた餅」状態ではなく、毎週見直し「加筆・修正」や「アイデア出し」が行われるのですから、計画に「魂」が吹き込まれ、潜在意識に到達していきます。
・能率手帳への記載方法
- 写真ページの「右側のページ」に、今週の「週計画」を前述で分類した1〜5に分けて記載します。
- その実行スケジュールを「左側のページ」に計画します。
能率手帳の「週計画」見開きページ(NOLTY No.6313)
「月次一覧表」も、1ヶ月のスケジュールを鳥瞰するのに活用すると、頭の中がスッキリと整理されます。
能率手帳の「月次一覧」ページ(NOLTY No.6313)
「システム手帳」でない単体の「能率手帳」を使う場合、「経営計画」シートは別にファイルします。そして、この別ファイルに「夢や目標」達成のイメージを写真で表現して貼り付けるのも、非常に効果的です。
人間は文字だけでなく、イメージ図や写真での表示が頭の中に入りやすいからです。
「PDCA」を回すのに、デジタルアプリなどを活用して取り組む人もいると思います。
しかしデジタルアプリでは、「潜在意識に到達」するような「人智を超えた知恵」は生まれません。手帳は、スケジュール管理や時間管理の範疇を超えて、目標の達成管理まで出来るツールなのです。日々、毎週・毎週、「想い」の念を膨らませ、手書きで「能率手帳」に自身の魂をぶつけないと、「目標達成」は望めません。
基本はアナログの手帳活用が一番だと思います。
「修・破・離」※
昔小学生だった頃、「逆立ち」が上手で「逆立ち」したまま歩き回るのが得意な、運動神経抜群の友達がいました。私は「逆立ち」ができず、その友達に「逆立ち」の仕方を教えてもらいました。そして教えてもらったやり方を試したら、すぐにできるようになりました。何でも「コツ」というのがあるのですね。
また柔道部に所属していた大学時代の柔道の話です。先輩に「大内刈り」という技が得意な人がいました。相手から「返し技」が効かない独特な技の掛け方で相手を倒す、その先輩に頭を下げて「大内刈り」の掛け方を教わりました。教えてもらった技の掛け方を何度も練習し、自分流の「大内刈り」が完成しました。その後の「昇段試合」では、この「大内刈り」という技だけで何人もの相手を倒し、二段に昇段することができました。
(※「修・破・離」とは、先ずは先人の教えを忠実に「修」め守りなぞらえ、次にその教えに工夫を加えて「破」り、最後に先人の教えから「離」れて独自の境地にいたる、日本の武道などの修行過程を示したもの。)
「学ぶ」の語源は、「真似ぶ」というところからだそうで、先ずは先人の教えを「真似る」のが基本だそうです。だから、「修・破・離」という言葉が生まれたのでしょうね。
現在、私が取り組む「生涯スポーツ」はスキーです。
3年前に「SAJ検定一級」に合格しましたが、まだ「コブ」が上手く滑れません。若い頃から腰が悪く、年中「ギックリ腰」になったりして、ゲレンデでも「不整地」を極力避けて滑っていたので、今も「コブ」が下手くそなのです。こんなハンデーを背負った「後期高齢者」の老人が、「コブ克服」を今シーズンの目標としました。そして自身の「能率手帳」に目標を書き込み、イメージ写真を貼り付けて、私は挑戦しています。
「修・破・離」の精神で、「YouTube動画」などを見ながら、そのポイントを探り出し、
「真似」することから始めれば、必ず「できる」と考えています。これは、スポーツも仕事も同じだと思います。
だから、このコラムから「学び」取り、「真似」から始めて「経営計画」を立てて、「PDCA」を真剣に回して、日々実践すれば、「夢や目標」は必ず実現すると確信します。
アナログと生成AIの活用
大企業では大手の「コンサル会社」がついていて、年間多額の予算を掛けているそうです。私のスキー友達の中で、イギリス本社の大手コンサル会社の役員をしていた人がいて、テレビ放送などでの「大企業」の失態を見ながら「これはコンサルが悪い!」とか、「コンサルの責任だ!」とかと、独り言のようにブツブツ呟いていることがよくあります。
大企業では「テレビコマーシャル」に予算を掛けるような感覚で、「大手コンサル会社」からの情報や知見、新規事業提案などを活用しているのだと思われます。
これでは経営資源の少ない中小企業は、歯が立ちません。
しかし、2年前から「生成AI」※から「ChatGPT」なるものが出てきて、これが凄いスピードで発展しています。中小企業の経営者も「生成AI」を最大限活用することで、20世紀最高の天才だと言われた「アインシュタイン博士」のIQ190レベルの頭脳を無償で使えるようになったのです。しかし、この「生成AI」の頭脳を引き出し活用するには、「プロンプト」※といわれる指示文に、①ゴール(何を依頼したいのか)②前提条件(生成AIに考慮してもらいたい背景情報や、実施してもらいたい役割)③出力形式・フォーマット(表形式等)を含め具体的に指示をすることがポイントです。せっかく「アインシュタイン博士」レベルの頭脳が側にいても、前提知識や手順、期待値などが正確に指示できていなければ、「あらゆる分野の博士号クラス」や「司法試験・医師免許合格レベル」の頭脳も引き出せません。
ChatGPTの発表直後、Google社は社内に「コードレッド(警戒警報)」を発令したそうです。ChatGPTの出現が、Google社の検索事業に深刻な影響を与えると判断されたからです。
(※生成AIとは、さまざまなコンテンツを新たに生み出す人工知能(AI)のこと。従来のAI(Artificial Intelligence)が、決められた行いを自動化するのに対し、生成AIはデータから学習したパターンや関係性を活用し、テキスト(文字)、画像、動画、音声など多岐にわたるコンテンツを新たに生成できる。)
(※プロンプト(Prompt)・・・促す、引き出す、きっかけを与える、などの意味。最近ではAI(人工知能)が望ましい出力を生成するように、プロンプト(指示文)を設計・最適化する「プロンプト・エンジニアリング」という技術が注目されています。)
まとめ
昔から「経営者は孤独」だと言われてきました。まさに「難しい経営課題」への良き相談相手はいなかったのです。しかし中小企業でも「世界的天才の頭脳」を味方にして戦えるのですから、革命のような大変化です。「経営計画」を立案したり、新たな「アイデア出し」など、さまざまな場面での相談相手に活用すれば「鬼に金棒」です。
逆な言い方をすれば、この一つの技術の出現によって、突如Googleのような世界一の企業の地位が脅かされる事態になったのです。
「経営計画」を立て、見直し、アイデアを絞り上げ、手帳活用のアナログと最高のデジタルを組み合わせていけば、必ず「目標」は達成できます。
「潜在意識は神の領域」だと言われます。「潜在意識に到達」するように、本気で真剣に願い、その過程を尽くしたら、必ず「目標」は達成できます。
もし「夢や目標」が自分一人だけの我欲のものではなく、「世のため・人の為」になる「利他の心」を含むレベルであれば、「必ずかなう」し、もし自分一人では実現できなかったら、不思議な「セレンディピティ」※ともいえる「助っ人」が現れて協力してくれると思います。
(※セレンディピティ・Serendipityとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること。)
読者の皆様が、上記の手法を学ばれ、自分の「夢や目標」を実現されることを切に願っています。
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