経営コラム

データドリブンとはどういうことか

はじめに
人とコンピュータをデータでつなぐ、せいこうデータ・コンサルティング代表、データストラテジストの服部です。中小企業様をご支援するかたわら、大手企業様の社内研修でデータ活用の講師をさせていただいております。
ビジネスでデータドリブンというと、データにもとづいて戦略を決めたり、経営判断したりといったイメージが一般的です(図1)。
ただ、戦略や経営判断と言われると、いささか構えてしまうのは私だけでしょうか…笑。このコラムでは、コンピュータのカタカナ英語が出てくるだけでとっつきにくい、という管理者の方に「あっ、そういうことならうちでもデータドリブンできそう!」と思ってもらえるよう、事例を交えながら「データドリブンとはどういうことか」についてお話しいたします。

図1:一般的なデータドリブンのイメージ(2020年 経済産業省「DXレポート2(中間取りまとめ)」の対話に向けた検討ポイント集より抜粋)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx.html

内容は次の通りです。
1. データ活用の必要性
2. 工程管理がうまくいった事例
3. データは社内すべての業務でいかせる
4. 人を中心に考える

データ活用の必要性

DX(デジタルトランスフォーメーション)やAI(人口知能)の文脈で“データドリブン”という単語をよく耳にするようになりました。データドリブンが強調されるようになった背景には、大量のデータでコンピュータに判断させるサービスが、世界的に消費者の行動を変え、市場の仕組みを変え、さらには社会構造まで変化させているという現実があります。グローバル化も相まって日本企業はDXが遅れているなどと悠長なことは言っていられません。今年4月、中国で運転手がいない完全自動運転タクシーが営業を始めました。車はトヨタです。官民ともに対応が遅れれば、本来生まれたかもしれない内需が国外に流れてしまう懸念が日増しに強まっているのです。
一方、「ガベージインガベージアウト(ゴミを入れてもゴミしかでてこない、つまり入力したデータがゴミなら出力されたデータもゴミ)という残酷な言葉があるほど、データ活用に難しい面があるのも事実です。しかし、うまくデータを活用できていないという場合、データの量的な管理にばかり目がいき、目的に合わせて質を調整するという活用の観点が疎かになっているケースが多いように思われます。もしデータがなければ、難しいことを考えず、まずはデータを取ってみましょう。ポイントは、どうやってデータを処理するかという管理面ではなく、何のためにデータをとるかという活用の目的をはっきりさせることです。

データ活用で工程管理がうまくいった事例

従業員約10人の修理業での事例をご紹介します。
生産性を上げるため、職人さんが自己申告した作業時間を使ったことがありました。申告された時間はかなりいい加減、休憩時間なんかが含まれていたりいなかったりします。それでも一応の成果は出て、工程を効率化することができました。これまで曖昧だった作業時間が数値化され、皆で共有することで工程管理がしやすくなったからです。
この数値データにどれだけ信頼性があるか、すなわち統計的な厳密性を保ったまま意味づけできるか、もしくはいわゆるAI予測で使えるデータかと問われると、「No」と答えざるをえません。では、何が“データドリブン”され、成果が出たのでしょうか。
この現場では、納期にかなり余裕のある状態で仕事を受注できるため、職員さんに作業してもらう時に「いつまでに」と期限を決める習慣がありませんでした。ですので、目安であれ作業時間がわかれば、それをもとに終わりを予測し、工程全体としての最適化を図ることができたのです。ただ、管理者がどんなにデータ(ここでは作業時間)にもとづいて計画を立てても、職人さんがその通りに動いてくれないと、せっかくの計画も絵に描いたもちにすぎません。さて、今回取ったデータは職人さんが自ら申告した作業時間でした。言ってみれば、自分で言ったことを守ってもらうという暗黙の了解、さらには指定された期限までに作業を終えるという規律をデータドリブンしたのです。


(pixabay/obsahovka)

データは社内すべての業務でいかせる

管理者の方は職場でのコミュニケーションに苦慮されているのではないでしょうか。部下に言っても動いてくれない、指摘しても直らない…などなど。
従業員50人、小売兼卸し業の卸し部門でのお話です。
お父さんが経営する会社で営業チームの管理者になった女性も同じように困っていらっしゃいました。自分よりも年上で経験もある営業担当者に忘れ物が多く、それを指摘しても流されてしまう。「何度も忘れ物を取りに帰る時間にもお給料を払っているのよ」と思ってはいても言えません。
こういった問題は相手に悪気がないことが多いです。腹落ちしていない、ピンときていない、あるいは響いていないなどと表現される状態で、無視しているわけではありません。当たり前のことほど、会議でスローガン的に発言してもなかなか分かってもらえないものです。こんな場合でもデータが役に立ちます。
この会社では営業さんが毎日の巡回計画を作成できるITツールを導入していました。しかし、実際の巡回データで計画データを上書きする仕様になっており、その日が終わると計画データが残っていなかったのです。そこで計画と実際の結果を後から比較できるよう実際に巡回した先を別に記録し、計画データも残すことを提案しました。そうすることで、例えば営業会議で「この日は〇〇と〇〇に行く計画だったのに、〇〇にしか行けていませんね。忘れ物で帰って来られた日でしたよね」と指摘し、相手の当事者意識を刺激できます。こちら(女性管理者)が切り出しやすくするためのトリガーとして、同時に、より強い印象を与える事実としてデータを利用しているんですね。

人を中心に考える

最後に、私が公の支援機関を離れ、コンピュータの力を使ってもっと深く企業様を支援したいと思うようになった事例をご紹介します。
まだ私がデータアナリティクスを始めて間もない頃、経営支援チームの一員として生産管理データの分析を担当したことがありました。従業員20人の製造業で、社長が自らマイクロソフトアクセスで構築したシステムは、受注日や投入資材量など多種多様な情報がデータベース化されていました。私は財務データや作業日誌とも比較しながら、過去5年分の生産管理データをお正月返上で分析し、ある従業員の作業とデータとの不合理な点を発見しました。データは事実です。私には発見した点が、社長が従業員に伝えられない思いを代弁しているように見えたのです。入念に資料をつくって報告書にまとめ、いざ明日がプレゼンという日、私の発表内容を知ったチームアドバイザーから待ったがかかりました。
まさに青天の霹靂。結局、私が発表できたことは①全体として納期の短縮がみられること②不可欠なデータが欠けていること③そもそもデータの収集を徹底すること、の3点でした。
ここから得た教訓は「ガベージインガベージアウト」です。社長が構築したシステムがガベージインガベージアウトだったのではありません。当時の私は指摘された従業員がどう思うか、社長の真の狙いはどこにあるかなど全く考えず、問題点を理論的に示すことにやっきになっていました。そういう目で見ていれば、当然そういうデータが目につくのです。残念ながら、自らゴミを集めていたようなものでした。
デジタル化やIT化、DXにIoT、ほかの概念と同様に、データドリブンも“人を中心に考える”ことが最も大切です。


(pixabay/geralt)

おわりに

コンピュータは人間が苦手な論理試行や計算を得意とし、データというかたちでそれを人間に伝えてくれます。かのGoogleは41種類の青色をランダムでユーザーに提示するという試行にもとづき、最も広告クリック率が高い青色を決めました。青の色調を変えただけで、年間売上が約200億円アップしたといわれています(「失敗の科学」マシュー・サイド著/Discover21出版)。コンピュータにひたすら同じ作業をさせ、統計的な計算結果を報告させたわけですが、Google検索は1日何十億アクセス。複雑な試行条件に合ったアクセスかどうかだけでも1秒間に何千回と判断しなければいけません。こういった処理は人間には不可能です。
このコラムを読んだ皆様が、コンピュータの力をかりるため、ちょっとデータドリブンでも始めてみようか、と思っていただけたら幸いです。

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